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平成21年(2009年)8月30日(日)の衆院解散(自民党・麻生内閣)総選挙の投票によって、民主党が政権を握りました。いわゆる、第45回衆議院議員総選挙です。

民主党のマニフェストには、「税金の無駄使いを無くし新たな財源を生み出す」「一人当たり年31万2000円の[子ども手当]の支給」「高速道路の無料化」等の文言が軒を並べ、国民から期待されて政権運営に当たることになりました。

ところが民主党の政権運営は内部での亀裂も多く、迷走といった状況であったことは批判ではなく、周知の事実でありましょう。

そのような中、民主党・野田内閣は、マニフェストにあったような「新たな財源の確保」が出来ずに、「マニフェストに無かった」消費税の増税による財源確保に踏み切りました(それでも民主党内では野田内閣が一番誠実であったような[筆者私見]・・)。

民主党の政権政策Manifesto2009(PDF4.8MB)

その際、党内からなかなか協力が得られず、当時の野党、自民党と公明党の3党合意によって、「社会保障と税の一体改革」という形で増税等の法案を成立させています。

そしてこの時、消費税の10%増税は平成27年(2015年)10月に実施。但し、時の内閣が景気動向を判断して行う。また、救済処置の選択枝の一つに軽減税率の採用などの案が盛り込まれました。軽減税率の採用を法案に盛り込ませたのは公明党で、この点、自民党は各界からの反発もあり、あまり乗り気ではありませんでした。

いずれにしろ、消費増税一辺倒であった民主党案が、三党合意によって「国民目線」の方向に至った・・ということが言えるでしょう。

そして、第46回衆議院議員総選挙『平成24年(2012年)11月16日の衆院解散⇒12月4日公示⇒12月16日投票』によって、自民党・公明党が大勝利し、自公連立政権(第二次安倍内閣)が発足します。結局、アベノミクスを標榜する安倍内閣の時代に「消費増税実施」を迎えることになりました。

その自民党・安倍内閣の2014年の急遽解散には、様々な議論もありますが、『平成27年(2015年)10月の消費増税10%』は、成立済みの法案であるという事実を忘れてはなりません。

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このような背景の下、2014年師走の衆院解散総選挙と消費税への軽減税率導入について、以下にまとめてみました。

2014衆院解散は何のための解散であったか?

民主・自民・公明の「3党合意」に盛り込んだ「消費増税の時期:平成27年10月」については、前回の衆院選で国民の信を問い、自民・公明圧勝の形で信任が得られた形となっています。そのような中、安倍首相は来年10月に予定されていた消費税の10%への引き上げを2017年4月に延期すると表明。これは、信を得た内容の変更であり、「衆院を解散して国民に信を問う」だけの大義のある事柄です。

さらには、増税時期の変更と共に、「10%引き上げと同時に軽減税率導入する」・「自公政権の経済政策(アベノミクス)は是か非か」を加えた3点についてを世に問うための解散総選挙であるということです。

マニフェストになかった消費増税を選挙で世に問うことなく決めたことで、民主党政権は、国民の信を失っています。国民との約束は、最も民主的なルールであり、これを踏み外してはなりません。

消費増税延期はアベノミクスの失敗によるものか?

アベノミクス(安倍政権による経済政策)の現状はどうか。国内の企業に目を向けると、有効求人倍率は22年ぶりの高水準を維持する一方で賃上げへ踏み切る企業も徐々に増えて来ています。また、民主党政権の末期に8000円台を低迷していた株価は1万7000円前後に上昇しているという事実があります。

そして、このような状況を日本経済新聞では「企業が雇用・賃金を増やす好循環の動きは続いている」と評価。

7〜9月期のGDP(国内総生産)が事前の予想より落ち込み、景気後退を懸念する声が上がっていますが、景気の回復軌道は続いており、けして、アベノミクスが失敗しているわけではなく、むしろ、景気全体は二年前より大きく前進しています。

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消費税率を8%に引き上げた本年4月以降、個人消費の回復が遅れていることを踏まえて、消費がさらに落ち込まないよう、消費税率10%への引き上げを延期(来年10月からの増税には国民の7割も反対)したことは、アベノミクスを失敗させないための延期と言えましょう。

消費増税になぜ軽減税率が必要なのか?

消費税には、景気の動きにかかわらず安定した税収が確保できる利点があります。そして、3党合意による「社会保障と税の一体改革」では、消費税の増税による税収の使いみちは「社会保障制度を維持・充実させるため」ということになっています。

しかしながら消費税には、所得に関係なく同じ税率がかかるために、低所得者の負担感が増すという「逆進性」の問題が存在します。

この問題に対して、食料品など生活に欠かせないものは税率を標準税率より低く抑え、増税の「痛み」を和らげる軽減税率の導入が必要になってきます。

欧州などでは、日本の消費税に相当する「付加価値税」の標準税率が2桁にのぼる国の多くが、軽減税率を導入しています。さらに、食料品への軽減税率の適用は、欧州連合(EU)加盟28カ国のうち21カ国に上るという事実があります。また、最近の世論調査では、軽減税率導入に「賛成」の人は8割近くに達しています。

国民の暮らしを守るために消費増税10%の際は是非、軽減税率の導入が求められます。

今こそ 軽減税率 実現へ【公明党】

軽減税率導入を本当に実現するには?

国民の負担、低所得者の痛手を緩和する「軽減税率」の導入は本当に実現できるものなのでしょうか。

仕組み変更に伴う煩雑さを嫌う官僚と税収の減る経済界、そして導入に伴う「コスト」の負担はどうするのか・・といった反対意見も多く、当初、与党・自民党も乗り気ではありませんでした。

そのような中、公明党は、「軽減税率の導入を一貫して訴えてきた唯一の政党」と主張していますが、それは、3党合意の経緯や状況からみても事実です。

ところが、2014年12月18日の衆院解散に至り、安倍首相は、記者会見で17年4月からの消費税率10%への引き上げと同時に、軽減税率を導入することについて「自民、公明両党間でしっかり検討していくことになる」と述べています。

これを受けて、与党として17年度からの軽減税率導入をめざして、対象品目、区分経理、安定財源などについて早急に具体的な検討を進めることで合意したとのこと。

さらに公明党は「10%への引き上げまでの2年半で、時間がかかる制度づくりや事務負担などの課題解決は可能」と主張しています。

今般の衆院解散総選挙で、再び、自公連立政権が実現することが「軽減税率導入」への道を閉ざさない方向であると共に、なかんずく、公明党の勝利がカギを握ることになると言えるでしょう。

以上、筆者のまとめた見解ですが、皆様はいかがお考えでしょうか。

どうして解散するんですか?政権選択の風

どうして解散するんですか? 〜偽小学4年生による質問サイトの発覚・大騒動は、違う意味で、あまりに急な衆院解散総選挙の存在を世の若い世代に普及させることとなりました。いわゆる浮動票の世代が認識することに。このことが、旧政権与党(自民党・公明党)と野党のそれぞれに、どのような「風」となって影響するのでしょうか・・。

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