2016年の8月に入り、楽天ブックスの電子書籍の中で、「人文・思想・社会」 の中の「宗教・倫理」部門で、【世界広布の翼を広げて 教学研鑽のために『開目抄』】という書籍が、売上ランキング1位を維持しています(2016年8月23日現在)。では、紙書籍版は?というと、「ご注文できない商品」、つまり在庫が無い状態となっています。

特定の分野とは言え、「王冠」マーク付きのランキング1位に創価学会の市販書籍がノミネート。その事実と裏づけを調査してみました。

青年教学2級で開目抄は市販の教材に指定

実はこの【世界広布の翼を広げて 教学研鑽のために『開目抄』】は、来月の9月25日実施と迫る、創価学会の教学部が実施する「青年部教学試験2級」の教材に指定されています。

創価学会の教学部では、日蓮大聖人の教義の研鑽を通して信心を深めようとの主旨で、ほぼ毎年のように、各段階(入門となる任用試験から教授試験まで)の教学試験を実施しています。

教学試験の実施にあたり、これまでは、実施月の2~3ヶ月前の機関紙「大白蓮華」に、試験範囲の特集が組まれ、これが教材となっていましたが、今般、「青年部教学試験2級」の出題範囲の一部『開目抄 全編』についてのみ、市販の当該書籍【~教学研鑽のために『開目抄』】が指定されました。そして、瞬く間に、紙書籍版は売り切れに。

その対応策でありましょうか・・2016年8月11日から、「~教学研鑽のために『開目抄』」の電子書籍版が販売されるようになったもようです。

↓その他の創価学会の電子書籍↓

楽天ブックスの電子書籍「池田大作」の開目抄他
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教学試験の教材については、市販の書籍(創価学会の会員の方向けの機関紙誌は除く)が指定されるのはこれが初めて。加えて、教材となった書籍に電子書籍が登場するのも初めてです。しかも、電子書籍の売上が部門1位を更新しています。

広い世の中、ほんの一分野での出来事ではありますが、歴史的な事実ではあると思います。

電子書籍の普及と文化について

電子書籍の良いところは、紙という「物質」では無いので、『スマホ』を使い、すぐに手に入り・いつでも・どこでも読める点にあります。

いくつもの書棚に満載の物凄い重量の紙の書籍も、スマホにダウンロードすれば、その全てをいつも気軽に持ち運びできる・・・あたりまえのことではありますが、改めて「凄い」と思われてなりません。

『紙の使用量が文化水準の高さの指標(バロメーター)』といわれて久しいところです。しかし、電子書籍化が進捗している事実は「紙の使用量」の削減を意味します。日常お世話になる「トイレットペーパー」の使用量もウォシュレットの普及で激減しているのは確かです。そして、電子書籍もウォシュレットも技術・文化の発展の賜物であることに違いありません。加えて、ECO推進にも貢献している事実は否めません。

参考文献
紙の消費量は、今後とも「文化のバロメーター」となり得るのか?

そんな中、わが国では、大手新聞各社が新聞の電子版をリリースする中、日刊の朝・夕「新聞配達の部数」は、まだまだ堅調、という事実があります。

ここで、「紙の消費量は文化のバロメーター」とか、紙の新聞発行部数の問題について触れることはしませんが、「文化遺産」という観点から一つの不安が浮上致します。

電子書籍や電子的なコンテンツには、言うまでも無く「物質としての形・存在」がありません。電気や保存媒体の消失で、その莫大なコンテンツは『一瞬にして消失』してしまいます。バックアップ云々はさておき、本質的にそのような存在です。

重要文化財として残る書籍・文書類は紙などの形があったから今に残り伝承されました。それは時に、完全に消滅した文明の遺物であったりすることもあります。

コンピューターとインターネットによって形成されつつある「現代文明」の、幾重にも積み上げられた貴重なコンテンツ。これを、電子的に保存するだけ?であることには、一つの文明を担う人類として、やはり不安は拭えないのです。