スポンサードリンク

品質標語には定番が存在するほど(後述)。品質管理の重要性が忍ばれます。その背景となるのが、(財)日本科学技術連盟が毎年主催する『品質月間』です。ポスターや標語の募集と頒布・テキスト刊行・全国主要都市での特別講演会の開催等々、品質月間の取り組みとして全国規模で展開されます。まさに、『全国品質月間』の様相です。品質月間Qマーク 品質月間をアピールするスローガンがイラストや写真入りのポスターで掲示されますが、品質月間にはQマークと称する「品質月間のマーク」が存在するという力の入れよう。

品質標語が品質月間をアピール

そして品質月間を鼓舞(アピール)する行事の筆頭が品質標語の募集です。この品質月間に応募された品質標語作品集の中から、優秀作品等、なるほどの定番標語が生まれるのではないでしょうか。

平成23年9月(2011年9月)現在以降、第52回品質月間の(財)日本科学技術連盟が募集する品質標語・品質川柳の締め切りは終わっていますが、各企業レベルでは、11月の品質月間への準備の一環として、標語の募集で盛り上がっている所も多いようです。

品質標語は品質月間ならずとも、各企業・各部署で作られています。しかし、品質月間の募集に応募される作品は非常に多く、優秀作共々、中にはユニークなものが。そこで、品質月間の標語募集を併せて品質川柳の募集も行われています。

品質川柳の募集があるという事実。それは日頃、品質管理と標準化体制の厳守をいかにうるさく言われているかの証左であり、例ではないでしょうか。

品質管理のための品質標語

品質管理推進の意識高揚を目的に【品質標語募集】というイベントが行われますが、そこから生まれた品質標語が大きな指針となって関係者の心にも浸透しているという事実があります。それも、年に一度のイベントだけでなく、企業レベルでの啓蒙活動の賜物でありましょう。

品質管理に寄与する品質標語については、日頃思うところが多くありますが、品質月間を目前にした今、品質月間に寄せての思いを以下に述べたいと思います。

「品質月間」という名称は当初、品質管理月間とか品質管理強調月間などが検討されたそうです。ところが最終的に、生産者も消費者も共に共有する『品質』という観点から、「品質月間」に決まったとのこと。以下は一般消費者の観点から自由に例をコメントしながらのものとなっています。

品質安定化と品質標語の心

かつて、ベニヤ板や新建材を扱う卸問屋に勤務していた頃、大手仕入先のパーティーを前に、視界では有名な方の草創期の標準化の苦労話を講演という形で耳にしたことがありました。

家屋の建築が大工さんの腕の良し悪しに左右される時代。そんな時代から脱却して、建材の開発とユニット工法の確立に至るまでの、戦いのお話でした。

多くの現場から厳しい反発を買いながら、勘を頼りに作業する大工さんの工法を緻密に観察し続け、誰にでも安定した品質で仕上げられるノウハウを抽出し、これを確立。また、それを可能にする建材の開発にも尽力し、ユニット工法に代表される品質の安定した家屋の建築を誰でもが可能な形にして来たという内容でした。その過程はまさに、家屋建築における標準化に他ならないものでした。

コストを度外視した品質の向上を考えるなら、本当に腕の良い職人さんは不可欠でしょう。しかし、品質の安定したものを量産するという『現代』の要求に副うものではなく、標準化こそが高度成長時代には不可欠なもので、そのおかげで斯界の今があるということだと思います。

従って、品質標語の訴える品質の管理とは、標準化への意識の高揚と厳守に尽きるものと思います。ちなみに標準化とは、相互運用のための広く合意されたガイドライン(標準)に向けて、標準を確立していく過程を指すとのことです。

◆関連するページ:品質スローガン 例

スポンサードリンク

品質標語と格言による品質管理

品質標語と格言でなじみの深いものに「100の勘より正しいデータ」・「勘よりデータ、コツより標準」と述べ、「実践!管理者心得」第72回目を説くのは、UVC管理者セミナー講師の立川 剛氏(「実践!管理者心得」第72回目|http://www.uvc.co.th/J72.htmより引用)。

以下、前掲のUVC管理者セミナー講師の立川 剛氏が説くところの「実践!管理者心得」の内容を引用させていただいたものです(http://www.uvc.co.th/J72.htmより引用)。

参照先:品質標語11句 品質管理の標語と格言

引用各所に私なりのコメントを付して品質標語の心と品質管理について考えてみました。

「100の勘より正しいデータ」
これはこのコラムでも何回も指摘している通りです。「データ無き者、発言権なし」と同じ意味ですね。

「勘よりデータ、コツより標準」
官能検査など標準化が難しいのですが、そこを標準化しないといつまでも職人芸に頼る事になってしまいます。そしてこの職人が辞めたらそれでお終いです。

官能検査とは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%98%E8%83%BD%E6%A4%9C%E6%9F%BB
官能検査のポイントは?
http://www.uvc.co.th/J80.htm

勘のデータ化とコツ(技)の標準技術化は、旧態然とした勢力への挑戦であり、その戦いを制して今日を築かれた先達には頭が下がるばかりです。そんな感謝の思いを強くさせられる品質標語です。

「品質のもたらす信用、増す需要」
最近は日系企業もコストと品質を極限まで追求しています。コストと品質管理のためシックス・シグマを導入している企業も増えてきています。品質とコストが自社の需要を増すことは間違いありません。

「見たか見本を、聞いたか指示を、頭に浮かべよ、品質向上」
見本は埃をかぶっている、作業標準書は改訂もされず、作業員が見にくい所においてある、聞いた指示も覚えていない、、、これでは困りますね。

全国安全週間とは(全国安全週間の起源)でも触れていますが、「安全第一」「品質第二」「生産第三」を掲げて安全作業に関する施策に重点をおいたところ、労働災害の減少と共に製品の品質が向上して生産性も上がった。という事実が「安全第一」の起源です。

品質第一では無いにせよ、顧客満足度を考慮するのであれば、時にコストを犠牲にした品質向上(ないしは品質の安定化)は必要であるということだと思います。

「管理図は工程異常の警報機」
管理図を間違って書き込んでいることがありますし、担当者が管理図の見方を知らないことすらあります。警報機だと思って注意して管理すべきですね。

「管理図は書くためでなく使うため」
まさにその通り!

各企業共、分業化があろうかと思います。自らが担当する仕事が全体の一部であっても、仕事全体の目的意識を持つことは重要です。そうすることで、一目前の仕事への意欲を凌駕して大きなモチベーションを得るに至れると思うのです。

「標準を無視して招く原価高」
これは良くある話しですね。勝手にやり方を変えて不良を大量に出してしまった、、、コストダウンの掛け声も空しく聞こえてしまいます。

「品質ばらつき、会社はぐらつき」
度重なるクレームのためオーダーを減らされてしまう、、、品質次第で本当に会社がぐらついてしまいます。

「信頼を不良一つで失うな」
僅か一つのクレームでも重欠点の場合、ことは重大です。長年築いた信用を一発で失う事すらあるのです。

標準化された後の体制の維持管理が如何に至難であるかを物語る品質標語です。なぜか会社や組織は放っておくと派閥が出来て不可侵の領域を生むものです。正しいことは正しいと言える組織と人間関係の確立が品質管理にも不可欠。

経営者や管理者は業務の結果ばかりに気を遣うのでなく、結果に至る従業員の状況・環境にこそ注視すべきだと思われてなりません。これは労働衛生管理の問題ですが、品質管理に不可欠な要素だと断言したいと思います。

品質管理の格言

次に品質管理の格言をご紹介しましょう。

「現場の迷信をなくすことが品質管理」
現場でおかしな作業を注意すると「前からこうやっています」「こうやることになっています」との返事。誰がいつ指示したのか個人名と日時を質すと「分かりませんが、こうやる事になっています」と本人も周りも誰も知らない事が良くあります。まさに幽霊に指示された事を守っているのです。これらの迷信を絶つことが品質管理につながります。

関連記事:朝礼ネタ 品質

「処置しなければ不良は減らない」
当たり前ですが、これが意外と出来ていないのです。お互いに非難の対策会議、責任の擦り合い、さらには「どうせ解決しないのだから」との投げやりな対策、製造とQCの馴れ合い、対策書をきれいに書くための対策、現場での揉み消し、フォロー無き対策の実施などにより、対策の自然消滅となり、何の処置もしていないのに終わったと安心してしまうのです。そして忘れた頃に再発して、再び同じ事を繰り返すことになります。製造業に携わる人々は全員、この当たり前の格言「処置しなければ不良は減らない」をもう一度、真剣に見直す必要があると思います。

上記、品質管理の格言については、『事なかれ主義』から派生する現象だと思います。従業員の意識改革を自発的に促す施策が最も重要だと思います。

【関連記事の紹介】
品質標語の作品例に見る品質管理 では、品質管理が如何にあるべきかについて、品質標語の作品例に触れながら述べています。

スポンサードリンク