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東京電力が電気代を平成24年4月1日から値上げ、という大問題が対象企業を直撃。衝撃と波紋が広がっていましたが、その後、3月30日までに値上げ拒否の連絡を東電に入れれば契約期間終了まで、電気料金の値上げを回避出来る(値上げを断れる)という事実が発覚。

この事実をあいまいにしていた東京電力の姿勢に対して、全国の企業のみならず、自治体や政府からも批判が相次ぐ中、この程、東京電力側から『値上げ見送り』の公式謝罪が行われました(平成24年3月22日朝のテレビ放送で認識)。 値上げ見送りと言ってもそれは、契約期間内の企業に対してであって、契約企業の25%に対しては4月1日から値上げが実施されると言います。

下記、一般家庭は東電の値上げ拒否どころか・・(電力の小売自由化)

今回の電気代値上げ拒否可能については、企業など大口利用者(東京電力では自由化部門のお客様と表現)が対象であって、一般家庭・個人の電気代については対象外と言います。そして、その不可避と言われる個人等への値上げが本年(平成24年)の7月に迫っています。

東京電力の電気代値上げ拒否可能の隠蔽は姑息かつ傲慢では

東京電力の『電気料金値上げ』については、公表当初から、『値上げ』という「事実そのもの」に対する批判・抗議が、各所から相次いでいます。

【値上げ抗議の関連記事】
東京・世田谷区、東電の一斉値上げを拒否(ヤフーニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20120320-00000000-nnn-bus_all
東京・世田谷区、東電の一斉値上げを拒否(ライブドアニュースより)
http://news.livedoor.com/article/detail/6384517/
電気料金値上げの根拠明らかに〜関東知事ら
http://www.news24.jp/articles/2012/02/16/06200202.html
“東電値上げ”根拠を 猪瀬副知事が要望書
http://www.news24.jp/articles/2012/02/10/04199837.html
電気料金制度で見直し案 人件費抑制求める
http://www.news24.jp/articles/2012/02/04/06199438.html
東電事業計画 電気料金値上げは3年限定
http://www.news24.jp/articles/2012/03/03/06201232.html
日産・志賀COO 東電値上げに苦言
http://www.news24.jp/articles/2012/02/16/06200257.html

やがて値上げ拒否ができるという事実の隠蔽?(周知せず)が発覚しました。

東電値上げ「契約期間は拒否可能」企業に周知せず http://mainichi.jp/select/biz/news/20120321k0000e020151000c.html

そして、世論の批判の風に押されるようにして、「言葉足らずの部分があり、深くおわびしたい」と、東電の西沢俊夫社長の謝罪がありました・・・。

東電 値上げ拒否権の周知不足 収支改善狂う恐れ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120321-00000622-san-bus_all

今回の東京電力・電気料金値上げ問題で浮上したことを筆者なりにピックアップするとそれは−。

  • 復興元年のこの時期に値上げを実施するということ。
  • 契約期間の異なる企業に対して、一律、4月1日に値上げとしたこと。
  • 値上げ拒否ができる事実を明記公表しなかったこと。
  • 不当性を指摘されて謝罪するという不誠実。
  • 選択枝を持たない庶民大衆に対する独占企業の傲慢。等々・・。

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東京電力側は電気料金の値上げに対して、値上げは「権利」であるという発表を行っていました。これには、政府側も批判の声をあげていましたが、『復興元年のこの時期に値上げを実施』することに対して大きな違和感を感じていました。

東日本大震災は天災ではありますが、その後の放射能汚染による甚大な被害は、東京電力の怠慢に帰する前代未聞の『人災』です。賠償責任が幾何級数的に肥大し続け、政府国家のテコ入れがなければ存在すらできないはずの東京電力の言い分としては『ありえない発言』ではないのか。

契約期間の異なる企業に一律4月1日に値上げとし、値上げ拒否ができる事実を明記公表しなかった事実は、選択枝を持たない庶民大衆に対する独占企業の傲慢から発する悪意以外の何ものでもなく、それは、不当性を指摘されて謝罪するという不誠実な姿勢に如実にあらわれているのではないか。

震災当初に、東京電力社長が被災地をまわり、ただひたすら頭を下げて歩いた、その、内心に『謝罪の心』が本当にあったのかどうか。今、改めて反芻せずにはいられません。

関連記事:朝礼ネタ 電気料金

官僚的であるということの包含する問題はあまりに大きいと思います。この問題に関しては、今後も考えて行きたいと思っております。

一般家庭は東電の値上げ拒否どころか・・(電力の小売自由化)

東京電力による電気代値上げの拒否をめぐり、自由化部門の企業等を中心に騒然となりました。今般、この問題の「電気代値上げの拒否」という部分のみ着目されて、一般家庭等でも電気代値上げの拒否が出来るのかという関心が巷に横行しているようです。

問題の自由化部門とは何か、電力の小売自由化とは?電力の小売自由化以後の電力需給の構造と供給される側の立場について、調査した結果を以下にまとめてみました。

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電力の小売自由化とは、それまで電気の供給事業への参入が東京電力等(北海道電力〜沖縄電力までの計10社)の地域の電力会社のみと規制されていた参入規制が順次撤廃されたこと。現行、地域電力会社10社のことを「一般電気事業者」と言います。

これによって、地域電力会社10社以外の『地域の電力会社や新規参入事業者』も電気の供給事業へ参入して、電気の供給を行うようになりました。現行、新規参入事業者のことを「特定規模電気事業者(新電力)」と言います。

以上は、電力の小売自由化による、電気の供給側(供給事業者側)の変化です。これによって、電気の供給を受ける側(需要家側)の方が、全て、「一般電気事業者」と「特定規模電気事業者(新電力)」からの供給を自由に選べるようになったかというとそうではありません。

電気の供給を受ける側は、電力の小売自由化後、『一般家庭等の小口需要家』と『大・中工場・大規模オフィスビル等の大口需要家』に区分され、前者の小口需要家はその対象外で、電力の小売自由化前となんら変わりはありません。

すなわち、一般家庭等は東京電力等の一般電気事業者から決められた電気代の供給を受ける以外に方法が無いということです。これに対して、大口需要家は、一般電気事業者だけでなく、『新電力』からの電気の供給を電気代の交渉も行えつつ受けることができるようになりました。現行、この大口需要家のことを『自由化部門』と呼んでいます。

現行、新電力の企業数や電力供給量にも限りがあり、大口需要家のすべてがその恩恵に浴するわけではありませんが、問題は今後の『一般家庭等の小口需要家』の立場にあると思われます。いわば、私たち一般家庭・個人の立場です。

新電力は大口需要家が電気代の交渉が出来る、いわば、東電などのライバル的存在。自由化部門の大口需要家とは言え、東京電力等には言い値で電気代を払わねばなりません。新電力を選択できる大口需要家はこぞってこちらを選択するでしょう。すると、必然的に東電等の電気代の売上は低下。東電等が売上低下分をさらに、『一般家庭等の小口需要家』にかぶせて来る可能性は非常に高いのではないでしょうか。

電力小売市場の自由化について(参考記事)
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/seido.pdf